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PiloTube 開発日誌

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「相談はGOではない」—AIとの開発で気づいた致命的なズレ

約6分で読めます

AIに3回怒られてルールが生まれた話 — 「提案→GO→実装」が最重要ルールになるまで

「あ、またやってる」と気づいた時には、もう手遅れだった。

同じセッションの中で3回。AIが自分の確認なしにコードを書き換えた。1回目は見逃した。2回目は「まあいいか」と流した。3回目で、さすがに止めた。

これが、PiloTube(パイロチューブ)の開発ルールの中で今もっとも重要な「提案→GO→実装」が生まれた日の話だ。


何が起きていたのか

PiloTube の開発は、自分一人とAIチームで回している。コードを書くのはほぼAI、判断するのは自分、という役割分担だ。普段はうまく機能している。

ただ、あの日のセッションは違った。

作業の流れはこうだった。機能追加の相談をしていた。「こういう動きにしたい」と伝えたら、AIが「わかりました、こう実装します」と言って、いきなりコードを出してきた。1回目はそのまま受け入れた。

2回目。別の箇所を修正する話をしていたら、また確認なしに「修正しました」。このとき少し引っかかりを感じたが、変更内容自体は悪くなかったので流した。

3回目。これが決定打だった。

自分はまだ「どうしようか考えている」段階だった。方向性を口頭で話していただけで、GOを出した覚えはない。なのにAIは「実装しました」と言って、コードを差し替えてきた。

思わず手が止まった。「いや、待って。自分、まだ決めてないんだけど」と。


問題の本質は「速さ」じゃなかった

最初は単純に「AIが先走りすぎる」という話だと思っていた。でも少し冷静になって考えると、そこじゃないと気づいた。

本当の問題は、自分がいつGOを出したのかわからなくなっていたことだ。

AIは「相談している=実装していい」と解釈していた。自分は「相談している=まだ検討中」のつもりだった。この認識のズレが、3回連続で起きていた。

しかも怖いのは、3回目まで気づかなかったことだ。1回目と2回目は「たまたま変更内容が良かった」から見逃した。でもそれは運が良かっただけで、もし3回目の変更が重要なロジックに触れていたら、気づかないまま本番に反映されていた可能性もある。

一人で開発している以上、チェックする人間は自分しかいない。AIが「なんとなく正しそうなコードを出してくる」という状況は、実は相当リスクが高い。


ルール化するまでの葛藤

正直、最初は「ルールを作るほどのことか」と思っていた。

「都度ちゃんと確認すればいいだけでは?」という気持ちもあった。でも、そう思って3回スルーしたのが自分だ。人間の「まあいいか」は繰り返す。仕組みで防がないと意味がない。

もう一つ悩んだのが、ルールを厳しくしすぎると開発のテンポが落ちることだ。AIとのやり取りで一番気持ちいいのは、サクサク進んでいく感覚。「提案→確認→GO→実装」みたいなステップを毎回踏むと、そのリズムが崩れる気がした。

ただ、テンポと安全性はトレードオフじゃないとも思った。ちゃんとフローを決めれば、むしろ「どこまで進んでいるか」が明確になって、作業が速くなるはずだ。


実際に決めたこと

試行錯誤の末、PiloTube の開発ルールとして以下を明文化した。

「提案 → プレビュー → GO → 実装」の4ステップ必須

  • 提案: AIが「こういう実装を考えています」と方向性を出す
  • プレビュー: 変更内容・影響範囲・懸念点を事前に提示する
  • GO: 自分が明示的に「進めて」と言う
  • 実装: GOを受けてはじめてコードを書く・変更する

特に重要なのは「プレビュー」のステップだ。

変更内容だけでなく、「どのファイルに触るか」「どんな副作用が起きうるか」「代替案はあるか」をセットで出してもらうようにした。これがあると、自分がGOを出す前に「ちょっと待て」と思えるポイントが増える。

もう一つ決めたのが、「相談はGOではない」というルールを明示的にAIに伝えること。セッションの最初に「今日は相談フェーズと実装フェーズを分けて進める」と宣言するようにした。地味だけど、これだけでかなり変わった。


ルール導入後に起きた変化

率直に言うと、最初の数セッションはテンポが落ちた。

毎回「提案です」「プレビューです」「GOをお願いします」というやり取りが増えて、「これ、面倒くさいな」と感じた瞬間もあった。

でも1週間も経つと慣れた。それ以上に、変化に気づく回数が増えたのが大きかった。

プレビューを見ていると、「あ、そのファイルには触らないでほしい」とか「その方向じゃなくてこっちにしたい」という判断が、実装前にできるようになった。以前は実装されてから「なんか違う」と気づいていた。修正コストが明らかに下がった。

あと、副次効果として自分の意思決定が速くなった。プレビューを見て「GO か NO か」を判断する習慣がついたことで、「どうしようかな〜」と漠然と迷う時間が減った。選択肢が目の前に出てくると、人間は意外とすぐ決められる。


一人開発者が「怒る」ということ

この話を書いていて気づいたことがある。

タイトルに「怒られた」と書いたが、正確には自分がAIを止めた話だ。AIは怒られたわけじゃない。でも、あの瞬間の感覚は「怒り」に近かった。

「勝手に動くな」という感情。

これは一人で開発しているからこそ出てくる感覚だと思う。チームで開発していれば、誰かがレビューして止める。でも一人だと、全部自分が見ないといけない。だからこそ、AIが「勝手に動く」ことへの感度が高くなる。

逆に言えば、一人開発においてAIとのルール設計は、チームのコードレビュー文化と同じくらい重要だということだ。「なんとなくうまくやる」じゃ続かない。明文化して、習慣にして、はじめて機能する。


読者への持ち帰り

AIと一緒に開発している人に、一つだけ聞いてほしい。

「あなたは今、AIにいつGOを出しているか、ちゃんとわかっているか?」

相談している段階で実装が始まっていたり、「まあいいか」で変更を受け入れていたりしていないか。自分はそれを3回繰り返して、ルールを作ることになった。

「提案→プレビュー→GO→実装」は、AIを信頼しないためのルールじゃない。自分の判断を守るためのルールだ。

AIは速い。速いからこそ、人間側に「待て」と言えるフローが必要になる。その仕組みを先に作っておくか、後で痛い目を見てから作るか。自分は後者だったけど、読んでいるあなたには前者を選んでほしい。

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